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2006年4月より「ワンセグ」放送が開始されました。
「ワンセグ」は多くの注目を集めており、様々なメディアでとりあげられています。
「ワンセグ」とは携帯電話などを中心とした移動体端末向け地上デジタル放送の総称です。
各局が地上デジタル放送に利用する周波数帯のうち、1つのセグメント(Segment:部分)を利用しているため、 「ワンセグ」と呼ばれています。 ちなみに、通常の地上デジタル放送(固定テレビ向け)では12セグメントを利用しています。

本編ではこの地上デジタル放送で利用されるマークアップ言語、BMLに関して解説します。

[ BMLとは ]

Broadcast Markup Languageの略語で、ARIB(社団法人 電波産業会[http://www.arib.or.jp/index.html])によって策定されています。 ただし、通常BMLと表記された場合は、マークアップ言語だけではなく、 地上デジタル放送を表現する仕組み自体を指す事が多くなっています。

どういうことかというと、狭義のBMLとは、xhtmlのサブセットに地上デジタル放送用の 特殊な要素を追加したものとなりますが、広義の(一般的な)BMLとは、狭義のBMLに以下の ような仕様を追加したものになります。

  • ・プレゼンテーション関連(CSS2.0)
  • ・Script関連(ECMAScript 3rd Edition)

また、放送という特殊な情報伝達方法におけるデータ転送方式である DSM-CCなどと言う伝送方式すら含まれる場合もあります。

DSM-CCとはカルーセル(回転木馬:carrousel)と言われる同じデータを周回で何度も送信し、 受信が完了したデータから順次ファイル化するというデータ伝送方式のことですが、こちらの詳細は 別途DSM-CCの項で解説を行うとして、本編ではBMLとxhtml+CSS2.0+ECMAScriptの違いを中心に解説します。

BMLが既存の仕様の単なる寄席集めでは無く、独自に策定されている理由は既存の仕様では 不足する部分があるからです。 それは、BMLが放送によって配信されているという特殊な事情が大きく関連します。

通常のインターネットは通信という言葉で分類されます。 通信における情報の取得は必ずPULL型です。情報の取得を要求する側が最初に行動を起し、 情報を配信する側はそれに答えるという方式です。しかし、放送はPush型と呼ばれる方式で 情報を配信する側に行動を起すトリガが保持されています。

[ 解説 ]

これはユーザが欲しいと思ったタイミングで情報を取得できないという不都合が発生する一方で、 情報を閲覧しているユーザ間で同期を取る事が可能というインターネットとは少し違った側面を持ちます。

この特殊性を有効利用しない手は無く、BMLでも十分に考慮されています。 それがBMLで独自に定義されているbeventという要素です。
beventは放送を受信した際に含まれる特殊な信号にコンテンツを連動させる仕組みを提供しています。 beventの子要素にはbeitemという要素を記述する事が可能で、beitemで連動の対象を記述します。
この機能を用いると、例えば番組の切り替わり時に全視聴者のデータ放送表示を一斉に切り替える事が可能です。 CM毎にデータコンテンツを変化させる、といった応用も考えられます。

もう1つ、広義のBMLと言った場合に含まれる ECMAScript の組込みオブジェクトにも放送独自のものが多数あります。 ECMAScript の組込みオブジェクト、とは、ECMAScriptを使う環境が規定するオブジェクト(機能)群の事をさします。 例えばよく知られている、JavaScriptというECMAScriptのスーパーセットを例にとります。 JavaScriptでは、String (文字列)クラスは ECMAScriptが用意する汎用クラスです。
なぜなら文字列の操作(サブストリング化や、文字列長を計算する処理)はScriptを使用する環境に関らず汎用に利用されるためです。 しかし、documentオブジェクトや、windowオブジェクトはECMAScriptの組込みオブジェクトであり、 ECMAScript外で規定されたオブジェクトです。 その理由は、documentや、windowオブジェクトの仕様をみると分かるのですが、それぞれブラウザに特化した処理であるためです。 このようにECMAScriptで特殊なオブジェクトを規定する場合には組み込みオブジェクトという手法を用います。

BMLで規定されている組込みオブジェクトに、browser擬似オブジェクトというものがあります。 なぜ「擬似」かと言うとインスタンスを生成できないからですが、ここではそこまで踏み込んだ話はしません。

[ まとめ ]

browserオブジェクトには以下のような機能が規定されています。

  • ・電源を切っても情報を保持できる永続管理機能
  • ・番組情報関連機能
  • ・シリーズ関連機能
  • ・録画関連機能
  • ・放送受信状態管理関連機能
  • ・その他

このうち、特に「放送受信状態管理関連機能」は頻繁に利用されます。 放送からあるデータを取得した場合にはこれを表示すること、などの制御が可能になるためです。 具体的には、TVの受信開始直後には放送局名しかないような軽いコンテンツを表示しておき、 受信が完了するとより詳細なコンテンツの表示を行うといった利用が可能です。

このようにBMLにはこれまでの通信では実現が不可能であった新しいサービスを提供するための 仕組みがたくさん格納されています。 仕様を十分に活用するとこれまでは想像もできなかったような新しい未来が開かれます。

今後も BML 及び地上デジタル放送関係には着目していきたいと思います。